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井の頭線に揺られながら

マスカラで固まったまつ毛をサラリと撫でた

この指に伝わる感触を、どこへ還元したら良いんだろ。

 

曖昧を明確にしたいのか、

それとも明確を曖昧にしたいのか、

今の自分には分からない。

広い海の上をずっと飛び続けている鳥みたいに、なかなか着地できない

 

そんな私に、

「一回良いアクセサリーを買ってみるといいよ。」

そう語りかけるジャニスを聴く同い年の彼女は、誰が何と言おうとカッコイイ

 

そうか...

 

考えて考えてる自分に足りないのは、

案外シンプルなものなのかもしれない

 

シンプルなものが鍵になるのかもしれない

 

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 高い宝石なのか、その辺に落ちた石やガラクタなのかわからないけど

きっとそれは確かにある

 

とても危険で、甘美で、若い、必要なモノから一番遠いモノを買ってみる、手に入れる美学

 

嶽本野ばらの『世界の終わりという名の雑貨店』と庵野監督の映画『Love&Pop』

どっちもその美学が、十代の女子というフィルターを通して描かれている 

https://youtu.be/GWM5oUXbits

 

渋谷川を淡々と歩く4人の女子高生
何回みてもこのエンディングはやっぱりすごい 

 

ラブアンドポップの舞台は97年夏

 

このヒシヒシとした若い辛さ、日本や大人への失望感

刺すような殺伐感

 

それは20年経っても、

いや、20年という月日が流れたからこそ再び私たち十代に襲いかかっているものなのかも

 

 

あの素晴らしい愛をもう一度

 

私は、あの時の素晴らしい愛をどう表現したらいいんだろ

 

人を救えるのかな

 

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おわり

鯉のぼり

失う朝を跳ねてゆく

真っ赤なバレエシューズで

愉快に跳ねてゆく

 

鋭い風を諸共せず、それを動力に変えて

脚にまとわりつくような冷気が心地よく、ワンピースは羽のようになびく

 

東京都上空を旋回するように舞っておりました

 

桜の花びらが地上から姿を消しはじめたことにハッと気づいた

 

油断

 

漆黒に輝く一羽のカラスが私の胸を引き裂いたのは偶然?

 

白いワンピースに血が滲み出し、徐々に赤色の面積が増えていく

 

身体を浮かせたまま、茫然と断腸の痛みに悶える

 

私の白いワンピースは完全に血で染まりました

それが白いワンピースであったことが遠い昔であるような

 

次第に身体が重力を感じはじめ、ゆらゆらと地上へと降下していく

 

私の心臓が落ちた場所は、吉祥寺駅中央線

プラットホーム

 

パンッ!と、鯉が水面から勢いよく跳ねるような、そんな音が響いた

 

時刻は0時少し前

 

 

 

 

23時

運ばれてきたカルアミルクは、想像より可愛いらしかった。

けどホイップクリームの上にちょこんと乗ったサクランボは小さいながらも凛としている。

“二次会”な、ざわめいた光を反射し、空間をサクランボ色に染めた。

 

初めてカルアミルクを飲むあの人達、

弱いのにビールを飲む彼

その横でマンゴーサワーを飲む色っぽい彼女と

その前でポップコーンをむさぼるあの人や、

サメ映画を語る先輩

 

ショコラオランジェ、ショコラオランジェ

18の私にとって、この時間のパフェは罪の味

オランジェってフランス語?クリームを掻き分けてもオレンジが見当たらない。

お洒落な名前だけど、実質はチョコバナナパフェ

名前負けに屈するものかと張り合うような芯がある美味しさに頰を落とす

 

なんて若いんだろう

 

終電前、ビール1杯でベロンベロンな彼に水を買って渡す

 

「君、水を買うなんて、今日は雨が降ってるから合理的じゃないじゃないか!」

 

 

そうだ今日は雨だ!

 

夕方から降りはじめた春の雨はしっかり本降りになった

 

ゲロとガムが散乱した冷たいコンクリートに寝そべって、この大都市の片隅で、大きく大きく口を開こう

 

喉の乾きを癒し、酔いをさますのは春の暖かな雨水

ミネラルウォーターは冷たすぎる

すべすべとした肌に滴る雫が、排水口に流れるまでは今

岡村靖幸カルアミルクの“あの頃”を走る今

 

頑張ってみるよ

若いのだから

 

中野13時36分

中野のスタバ。13時36分

甘ったるいはずのホワイトチョコレートマカデミアクッキーは、やっぱり甘ったるい。ガラス越しに揺れる桜の花もやっぱり綺麗なのだ。

か細い自尊心がぽきっと折れる音が聞こえた。

ああ、ただ汚いものに触れたい飲み込まれたい、汚物のような今の気分にここは似合わない。こりゃしまったと思った。

皇族の噂を語るピンクのスカーフを巻くマダムのパンプスを奪って匂いを嗅ぎたいくらい、それくらいしか汚いものが見当たらない

 

パパパ

 

その瞬間を私は覚えてないけど、たしかに私は教室の隅に落ちた消しゴムを拾うようにマダムのパンプスを脱がした

 

マダムの丸く開いた眼球に映るのは私である、茶髪が似合わない私である

 

黒い高そうな靴を握る手から汗が滲み、滴る

 

「これ、下さい、」

「はい?」

「あの、これ、下さい!!!」

 

ヒィと引きつったほうれい線は日本海溝のように深い

響く店内BGM。

 

「代わりにこれあげます!」

店内の客はみんなこの奇妙な物語の行方だけに五感を傾けている。

 

買ったばかりのコンバースを脱ぎ捨て、マダムの足元に置き、私は逃亡することになった。

桜の花びらが髪の毛に絡まったことにも気づかないくらい、私は必死に走り続けたf:id:jasmine31x:20170412141007j:image