白い天井、静寂の中で蛍光灯がウォンウォンと微かに鳴ってて

いつまでもその白を眺めていると頭がボーッとするから、冷凍庫までフラフラ歩き6個入りのミニカップアイスを手に取った

 

微熱が伝って、いつもより少し溶けるのが早いの

エロいな

 

バニラで正解だった

甘い以外の味ほとんど感じないんだもん

 

思い出したくもないのにここ数ヶ月がシャトルランみたいに脳内を駆け巡る

 

いや、熱のせいで、ぼーっとワードが駆け巡る

 

未完成みたいな完成された門、西武線、ジャニスジョプリン、アンナカリーナ、木炭、ゲーブン、落ち葉、スタビ、鴨、都市開発、中央線、君の名は、イラレ、花園神社、川越、ナンバープレート、愛と恋愛の違い、玉川上水、カフェグラッセ

 

もうきっとあの日みたいに走れないや

つくり笑いもしないや

 

 

ああ、アイスうまか

 

甘くて

 

井の頭線に揺られながら

マスカラで固まったまつ毛をサラリと撫でた

この指に伝わる感触を、どこへ還元したら良いんだろ。

 

曖昧を明確にしたいのか、

それとも明確を曖昧にしたいのか

 

広い海の上をずっと漂流してるみたい、なかなか着地できない

 

考えて考えてる自分に足りないのは、

案外シンプルなものなのかもしれない

 

シンプルなものが鍵になるのかもしれない

 

 高い宝石なのか、その辺に落ちた石やガラクタなのかわからないけど

 

 

 

 

 

 

鯉のぼり

失う朝を跳ねてゆく

真っ赤なバレエシューズで

愉快に跳ねてゆく

 

鋭い風を諸共せず、それを動力に変えて

脚にまとわりつくような冷気が心地よく、ワンピースは羽のようになびく

 

音に酔い、景色に酔う

東京都上空を旋回しておりました

 

イヤホンが壊れたとき

 

桜の花びらが地上から姿を消しはじめたことにハッと気づいた

 

油断

 

漆黒。カラスが私の胸を引き裂いたのは偶然なんでしょう

 

白いワンピースに血が滲み出し、徐々に赤色の面積が増えていく

 

身体を浮かせたまま、茫然と断腸の痛みに悶える

 

私の白いワンピースは完全に血で染まりました

それが白いワンピースであったことが遠い昔であるような

 

次第に身体が重力を感じはじめ、ゆらゆらと地上へと降下していく

 

私の心臓が落ちた場所は、中央線吉祥寺駅

プラットホーム

 

パンッ!と、鯉が水面から勢いよく跳ねるような、そんな音が響いた

 

時刻は0時少し前

 

 

 

 

23時

運ばれてきたカルアミルクは、想像より可愛いらしかった。

けどホイップクリームの上にちょこんと乗ったサクランボは小さいながらも凛としている。

“二次会”な、騒めく光を反射し、空間をサクランボ色に染めた。

 

初めてカルアミルクを飲む彼、

弱いのにビールを飲む彼

その横でマンゴーサワーを飲む色っぽい彼女と

その前でポップコーンをむさぼる誰か知らないあの人や、

サメ映画を語る先輩

 

ショコラオランジェ、ショコラオランジェ

この時間のパフェは罪の味

オランジェってフランス語?クリームを掻き分けてもオレンジが見当たらない。

お洒落な名前だけど

実質はチョコバナナパフェ

名前負けに屈するものかと張り合うような芯がある美味しさに頰を落とす

 

あああー!

なんて若いんだろう!

 

終電前、ビール1杯でベロンベロンな彼に水を買って渡す

 

「君、水を買うなんて、今日は雨が降ってるから合理的じゃないじゃないか!」

 

 

そうだ今日は雨だ

 

夕方から降りはじめた春の雨はしっかり本降りになった

 

ゲロとガムが散乱した冷たいコンクリートに寝そべって、この大都市の片隅で、大きく大きく口を開こう

 

喉の乾きを癒し、酔いをさますのは春の暖かな雨水

ミネラルウォーターは冷たすぎる

すべすべとした肌に滴る雫が、排水口に流れるまでは今

 

頑張ってみるよ

若いのだから

 

中野13時36分

中野のスタバ。13時36分

甘ったるいはずのホワイトチョコレートマカデミアクッキーは、やっぱり甘ったるい。ガラス越しに揺れる桜の花もやっぱり綺麗なのだ。

か細い自尊心がぽきっと折れる音が聞こえた。

ああ、ただ汚いものに触れたい飲み込まれたい、汚物のような今の気分にここは似合わない。こりゃしまったと思った。

皇族の噂を語るピンクのスカーフを巻くマダムのパンプスを奪って匂いを嗅ぎたいくらい、それくらいしか汚いものが見当たらない

 

パパパ

 

その瞬間を私は覚えてないけど、たしかに私は教室の隅に落ちた消しゴムを拾うようにマダムのパンプスを脱がした

 

マダムの丸く開いた眼球に映るのは私である、茶髪が似合わない私である

 

黒い高そうな靴を握る手から汗が滲み、滴る

 

「これ、下さい、」

「はい?」

「あの、これ、下さい!!!」

 

ヒィと引きつったほうれい線は日本海溝のように深い

響く店内BGM。

 

「代わりにこれあげます!」

店内の客はみんなこの奇妙な物語の行方だけに五感を傾けている。

 

買ったばかりのハイヒールを脱ぎ捨て、マダムの足元に置き、私は逃亡することになった。

桜の花びらが髪の毛に絡まったことにも気づかないくらい、私は必死に走り続けたf:id:jasmine31x:20170412141007j:image